
「面接でどんな敬語を使えばいい?」「御社と貴社ってどっちが正しい?」「うっかりバイト敬語が出てしまわないか不安?」——就活の言葉遣いに悩む学生は少なくありません。本記事では尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いから、面接・メール・電話での使い分け、ありがちな間違いまでを整理します。完璧である必要はなく、丁寧に話そうとする姿勢と最低限の型さえ押さえれば十分に伝わります。採用担当の視点も交えて解説します。
Contents
【基礎】尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つの違いを整理する
敬語は大きく3種類に分かれます。混乱しやすいので、まず土台を固めましょう。
・尊敬語……相手の動作を高めて敬意を示す言葉。「言う→おっしゃる」「行く→いらっしゃる」など、主語は必ず相手です。
・謙譲語……自分の動作をへりくだって相手を立てる言葉。「言う→申す」「行く→伺う」など、主語は必ず自分です。
・丁寧語……語尾を「です・ます」で整え、話し方全体を上品にする言葉。相手・自分どちらの動作にも使えます。
つまづきの多くは「尊敬語と謙譲語の主語の取り違え」です。相手の行動には尊敬語、自分の行動には謙譲語、と主語を意識するだけで大半のミスは防げます。採用担当としては、完璧な語彙よりも「誰の動作かを踏まえて話そうとしているか」を見ています。就活マナー全体の基礎はp375も参考にしてください。
- 【尊敬語】相手を主語に、その動作を高めて敬意を表す言葉
- 【謙譲語】自分を主語に、へりくだって相手を立てる言葉
- 【丁寧語】です・ますで話し方全体を整える最も基本の敬語
- 【主語の意識】誰の動作かを見極めれば取り違えは大きく減る
- 【優先順位】語彙の暗記より丁寧に話そうとする姿勢が先
【頻出】御社と貴社の使い分け・言い換えるべき定番フレーズ
就活で必ず登場する使い分けを押さえておきましょう。まず相手企業の呼び方です。
・御社……話し言葉で使う。面接・電話・説明会での口頭はすべて「御社」。
・貴社……書き言葉で使う。エントリーシート・メール・履歴書はすべて「貴社」。
次に、普段使いがちな言葉の言い換えです。
・「了解しました」→承知しました/かしこまりました
・「なるほど」→「おっしゃる通りです」「勉強になります」(相槌の「なるほど」は目上にNG)
・「大丈夫です」→「問題ございません」「差し支えありません」(可否が曖昧なので避ける)
・「参考になりました」→「大変勉強になりました」(「参考」は上から目線に響く場合あり)
この4つは面接官が特に耳に留めやすいポイントです。とはいえ一度の言い間違いで評価が決まるわけではありません。採用担当は言い直せる冷静さも含めて見ています。メール文面での使い分けはp330も併せて確認しましょう。
- 【御社】口頭で使う呼称、面接・電話・説明会はすべてこれ
- 【貴社】書面で使う呼称、ES・メール・履歴書はすべてこれ
- 【承知しました】了解しましたは目上に対してやや軽い印象
- 【なるほど】相槌としては失礼、おっしゃる通りですに置換
- 【大丈夫です】可否が曖昧、問題ございませんと明確に伝える

【面接】口頭での言葉遣いと第一声・自己呼称のコツ
面接は話し言葉の勝負です。緊張して噛んでも問題ありませんが、型は意識しましょう。
・自己呼称は「わたくし」……「わたし」「自分」「僕」ではなく「わたくし」が最も丁寧です。ただし終始堅くする必要はなく、要所で使えれば十分です。
・入退室のあいさつ……入室時「失礼いたします」、着席前「よろしくお願いいたします」、退室時「本日はありがとうございました。失礼いたします」。
・語尾を整える……「〜っす」「〜じゃないですか」は避け、「〜です」「〜と考えております」で締めます。
面接官が見ているのは流暢さではなく、相手に敬意を向けて話そうとする姿勢です。多少ぎこちなくても、誠実さは十分伝わります。むしろ暗記した敬語をよどみなく並べるより、自分の言葉で丁寧に話すほうが好印象になることも多いです。面接全体の準備はp258で体系的に対策できます。
- 【わたくし】自己呼称は僕・自分ではなくわたくしが基本
- 【入退室】失礼いたします・よろしくお願いいたしますを型に
- 【語尾】〜っす・〜じゃないですかを避けて丁寧に締める
- 【誠実さ】流暢さより敬意を向ける姿勢が評価される
- 【自分の言葉】暗記の羅列より丁寧に伝える意識を優先
【メール・電話】書面と通話それぞれの言葉遣いの型
メールと電話は面接と違う配慮が必要です。それぞれの基本型を押さえましょう。
メールでは書き言葉のルールが効きます。
・宛名は「株式会社◯◯ 人事部 ◯◯様」と正式名称で書く
・冒頭は「お世話になっております。◯◯大学の◯◯と申します」
・企業の呼称は貴社、結びは「何卒よろしくお願い申し上げます」
・返信は原則24時間以内、件名は変えずに返す
電話では声だけが頼りなので、以下を意識します。
・第一声は「お世話になっております。◯◯大学の◯◯と申します」
・担当者不在なら「改めてお電話いたします」と自分からかけ直す姿勢を示す
・静かな場所でメモを取りながら、ゆっくり話す
採用担当は、メールの丁寧さや電話の落ち着きから「入社後に顧客対応を任せられるか」を無意識に見ています。お礼メールの具体的な書き方はp330が参考になります。
- 【宛名】株式会社◯◯ 人事部 ◯◯様と正式名称で書く
- 【貴社】メール本文の企業呼称は書き言葉の貴社を使う
- 【24時間】返信は原則翌営業日までに、件名は変えず返す
- 【第一声】電話は申しますと名乗り、ゆっくり明瞭に話す
- 【かけ直し】担当者不在時は自分からかけ直す姿勢を示す

【要注意】二重敬語とバイト敬語のありがち間違い
無意識に出やすい間違い敬語を知っておくと、本番で気づけます。代表格が二重敬語とバイト敬語です。
二重敬語は、一つの動作に敬語を重ねすぎる誤りです。
・「おっしゃられる」→「おっしゃる」(尊敬語+尊敬語)
・「拝見させていただきました」→「拝見しました」
・「ご覧になられる」→「ご覧になる」
バイト敬語(コンビニ敬語)は接客現場で広まった崩れた言い回しです。
・「〜のほう、いかがですか」→「〜はいかがですか」(不要な「ほう」)
・「1万円からお預かりします」→「1万円お預かりします」
・「こちら履歴書になります」→「こちらが履歴書です」(「なる」の誤用)
・「よろしかったでしょうか」→「よろしいでしょうか」
これらは日常で口になじんでいるため、就活の場でもつい出てしまいます。採用担当も学生の緊張は理解しているので、出てしまっても即マイナスではありません。ただし直す意識を持つ人ほど、言葉が締まって見えます。
- 【二重敬語】おっしゃられる等の重ねすぎに注意する
- 【〜のほう】不要なぼかし表現、〜はで言い切る
- 【〜になります】なるの誤用、〜ですと言い切る
- 【よろしかった】過去形は不自然、よろしいでしょうかに
- 【口ぐせ対策】日常で慣れた言い回しほど本番で出やすい
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【印象UP】クッション言葉で伝え方をやわらげる
同じ内容でも、前に一言添えるだけで印象が大きく変わります。これがクッション言葉です。依頼・辞退・確認の場面で特に効きます。
・依頼するとき……「恐れ入りますが、もう一度お願いできますでしょうか」「お手数ですが」
・断る・辞退するとき……「あいにくですが」「せっかくですが」
・尋ねるとき……「差し支えなければ」「失礼ですが」
・反論・意見するとき……「僭越ながら」「私見ですが」
たとえば面接で質問が聞き取れなかったとき、いきなり「もう一度お願いします」と言うより、「恐れ入りますが、もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」と添えると角が立ちません。
クッション言葉は暗記で丸ごと覚える必要はなく、「恐れ入りますが」「お手数ですが」の2つだけでも十分役立ちます。採用担当から見ると、こうした一言が自然に出る学生は、相手への配慮ができる人として印象に残ります。ES作成での言い回しはp268も参考にしてください。
- 【恐れ入りますが】依頼の前置きに最も使える万能フレーズ
- 【差し支えなければ】質問や確認をやわらげる前置き
- 【あいにくですが】辞退・お断りの角を立てない一言
- 【聞き返し】もう一度お伺いしてもよろしいでしょうかで丁寧に
- 【2つで十分】恐れ入りますが・お手数ですがから始める

【本番対策】緊張で言葉が出ない時の立て直し方
どれだけ準備しても、本番で頭が真っ白になることはあります。大切なのは、詰まったあとの立て直し方です。
・一呼吸おく……焦って言葉を探すより、「少しお時間いただけますでしょうか」と一言添えて間を取ってよい。
・素直に伝える……言葉に詰まったら「緊張しておりまして、失礼いたしました」と正直に言えば、むしろ誠実さが伝わる。
・言い直す……敬語を間違えたと気づいたら「失礼いたしました、◯◯です」と落ち着いて訂正すれば問題ない。
・結論から話す……頭が回らない時ほど、まず結論を一言、次に理由、の順で話すと崩れにくい。
採用担当は、学生が緊張するのを前提に見ています。むしろ、詰まった時にどう立て直すかにその人らしさが表れます。完璧な敬語を並べる学生より、多少つまずいても誠実に向き合う学生のほうが印象に残ることは珍しくありません。履歴書での自己表現準備はp704も活用しましょう。
- 【一呼吸】焦らずお時間いただけますでしょうかで間を取る
- 【素直に】緊張しておりましてと正直に伝えて構わない
- 【言い直す】失礼いたしましたと落ち着いて訂正すればよい
- 【結論から】詰まった時ほど結論→理由の順で話す
- 【立て直し】ミスよりどう挽回するかに人柄が表れる
まとめ:完璧な敬語より、丁寧に話そうとする姿勢を大切に
就活の敬語は、3種類の違い(尊敬語・謙譲語・丁寧語)を土台に、御社と貴社の使い分け、面接・メール・電話それぞれの型、そして避けたい二重敬語・バイト敬語を押さえれば、実戦では十分に通用します。クッション言葉を一つ二つ添える意識と、緊張で詰まったときの立て直し方まで用意しておけば、本番でも落ち着いて臨めるはずです。
改めて強調したいのは、採用担当は完璧な敬語を求めているわけではないということです。多少言い間違えても、相手に敬意を向けて丁寧に話そうとする姿勢と、最低限の型さえ伝われば、印象は十分に良くなります。むしろ暗記した言葉をよどみなく並べるより、自分の言葉で誠実に話すほうが心に残ります。
本記事で紹介したポイントを一度声に出して練習し、あとは「丁寧に伝えよう」という気持ちを忘れずに本番へ臨んでください。あなたの誠実さは、言葉の端々からきっと伝わります。

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